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みんなの部屋8

海辺の家
デュエット
クイルズ
魚と寝る女
メメント
オー・ブラザー!
バンディッツ
欲望の翼
ブエノスアイレス
花の影
フロム・ヘル
男たちの挽歌
ハードボイルド 新・男たちの挽歌
暗い日曜日
カストラート
王は踊る
青い夢の女
おいしい生活
フェリックスとローラ
シカゴ
ディナーラッシュ
チェンジング・レーン
セレンディピティ
彼女たちの時間
めぐり逢う大地
チェルシーホテル
ボーン・アイデンティティー
チョコレート
インソムニア
アバウト・ア・ボーイ
イン・ザ・ベッドルーム
ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
ゴスフォード・パーク
バースデイ・ガール
マイノリティ・リポート
華の愛 -遊園驚夢-


『海辺の家』 2001 アメリカ

監督:アーウィン・ウィンクラー
出演:ケヴィン・クライン/クリスティン・スコット・トーマス
   ヘイデン・クリステンセン/ジェナ・マローン

 主人公の建築デザイナーは、仕事においても、夫、父親としても可成り頑なというか不器用な人では? それ故に妻は息子を連れて10年前に家を出て行ったのでしょう

父親との確執を引きずったこの父は、分かれて暮らす息子とも向き合うこともなく、きっと出来ないのでしょう。 再婚して今は裕福な暮らしをしている別れた妻 でも16歳になった息子は義理の父とは不和で、かなり荒れているのだ。

会社はくびになるは、その挙げ句余命数ヶ月と宣言され、改めて自分の人生は
なんだったのかと思い至るのです。 残された短い時間を悔いを残さずどう
生きるか。

彼は、父親が建ててくれた長年住み慣れた海辺の家を、自らの手で建て替える
事を思いつき嫌がる息子を強引に手伝わすのです。

こうして父にとっては最期となる夏 息子との溝も無くなり、別れた妻とも
いい想い出が出来、思い残すことのない人生を終えたのではないかな。

父の残した物は「家」と、そして「愛」ではないかと思うのです。 上手く
言えないけど(^^ゞ

メークにピアス(顎にまで)そしてヤクと、荒れた息子が父親と一緒に仕事を
する内に少しずつ変化していく、ヘイデン・クリステンセンの演技は 中々
見応えあり それに凄い美形!! 「スター・ウォーズ・エピソード2」を
観ていないのでこれが初めて 噂には聞いていたけど 噂通り(^^)

父親のケヴィン・クラインも、いい父親になろうと力む訳じゃなく自然な
演技でいいね。

ラストシーンを含めて、爽やかな感動を与えてくれた作品

2003年01月22日(水)  ★新作ビデオ/DVD  スターダスト 

『デュエット』 2000・アメリカ

監督:ブルース・パルトロウ
出演:グウィネス・パルトロウ/ヒューイ・ルイス
   ポール・ジャマッティ/マリア・ベロ

 プロのカラオケシンガーと長年離ればなれだった娘
 仕事と家庭のストレスからキレる寸前のサラリーマンと、
 ヒッチハイクで拾った脱獄囚
 恩師のなれの果てと妻の浮気のダブルショックで世を
 はかなむ男とバーで知り合った強引で蓮っ葉な女

 この3組のペアが米国内を横断、カラオケの全国大会に向かう
 ロード・ムービー

 今やKARAOKEは世界中に愛好者がいるようだけど、歌って稼ぐ
 プロが居るなんて驚き!! 結構こういった「KARAOKE BAR」
 「KARAOKE CLUB」があるそうだ。

 以前観た『ロンドン・ドッグス』も、ギャングの親分がカラオケ大好きで
 ジュード・ロウも、楽しそうに歌っていたっけ
 
 顔も知らなかった父親リッキー・ディーン(ヒューイ・ルイス)と再会した
 リブ(パルトロウ)このコンビの話はさして面白くもないけど、意外と
 パルトロウ歌上手いんですよ  ヒューイ・ルイスは歌手だから上手いのは
 当たり前だけど・・・

 中でもストレスの塊の企業戦士に扮したポール・ジャマッティが傑作(^0^)
 初めて飛び込んだカラオケバーで、薬の力を借りて歌ってみたらもう病み
 付き はまりまくり 薬のせいで気分はハイもいいとこ ヒッチハイクの
 黒人の脱獄囚を拾ってやったのはいいのが、運転できないという脱獄囚に
 無理矢理運転させる所なんか大笑い  でもあんなのいいんかい(@_@)

 各地のカラオケバーで勝ち進み、目指すは賞金5000ドルのスーパー
 カラオケ大会  企業戦士は相方の脱獄囚が警察に射殺され、優しく迎えに
 来た妻と帰るらしく脱落。  

 残る2組がネブラスカ・オマハ向かってGO!! 

 この映画 監督はグウィネスの父親で、グウィネスとブラピが恋人同士の
 時に共演させる筈だったのが別れたので映画化が白紙に戻り幻の映画となる
 ところだったそうだ。

 ま、たわいない映画だけど、面白く笑わせてもらいました。
 ポール・ジャマッティやグウィネスの素人ながら結構上手い歌声を聴くだけ
 でも楽しいかも

2002年09月17日(火) スターダスト 

『クイルズ』 2000 アメリカ

監督:フィリップ・カウフマン
出演:ジェフリー・ラッシュ/ケイト・ウィンズレット
   ホァキン・フェニックス/マイケル・ケイン

 文豪マルキ・ド・サドの晩年を描いた戯曲の映画化サドの作品は読んでいなくても、名前だけは知っているんですよね。

猥褻文書頒布罪でシャラントン精神病院に幽閉されたサド侯爵この精神病院での彼のどんなに抑圧されても書き続ける異常なまでの書く事への執念には圧倒されてしまいます。

紙とペンを取り上げられると、チキンの骨とワインでシーツに書き、それも奪われると指を切って下着に血文字を書く。 自由にならない部屋に入れられると今度は事も有ろうに、悪臭プンプンの或もので書き続けるという 何という凄まじさ 

これをジェフリー・ラッシュが少々オーバーとも思える熱演いや怪演とでも言うかとにかく凄い演技。侯爵に傾倒し、シーツに書いた文章を書き写し密かに出版社に送るなど協力する小間使いに、ケイト・ウインズレット

信仰と彼女への抑えがたい想いで悩む謹厳な神父をホアキン・フェニックス 彼って演技力ある〜院長として病院に迎えられた狡猾な精神科医をマイケル・ケインの4人の演技合戦がみものです。

殆どのシーンが病院の中なので、まるで舞台劇を観るようです。小間使いの思わぬ死と、それを嘆き悲しみながら先の見えない運命に陥る神父が哀れで、悲しいラストに、見終わった後気が重くなるかも・・・

2002年05月15日(水) スターダスト 

『魚と寝る女』 2000 韓国

監督・脚本・美術:キム・キドク
出演:ソ・ジョン/キム・ヨソク

 韓国の異端児監督と言われているキム・キドク監督の4作目の作品ですR−18 頷けます。 

グロテスク エロティック それでいて詩的 どう表現すればいいか何とも言い難い映画です。

霧の立ちこめた湖に点在する小屋舟 その釣り場を管理している孤独な女
ヒジン 彼女はいっさい言葉を発しないで、ただ無言で釣り客を小屋舟まで
運び、注文があれば釣り針、コーヒーなども運び、時には泊まり客に体も
売るんです。

釣り客の中には、女を連れ込む客も多く、それを無言で黙々と運ぶヒジン 
独特の雰囲気の有る女優です。 

浮気した恋人を殺し自殺の場を求めて小屋舟に来た客ヒョンシク 二人の間
には微妙な感情が芽生え始めるのだが、彼が身体を求めると拒むのです。
当てつけのように風俗嬢を買うヒョンスク それを覗き見するヒジンの嫉妬と
哀しそうな眼差しには、何か寒くなるような・・・

その嫉妬の現れが、風俗嬢を小屋舟に閉じこめ手足を縛られた彼女が湖に
転落すると彼女の乗ってきたバイクも湖に沈めてしまう。彼女を捜しに来た
ヒモとヒョンスクが争っているのをヒジンが後ろからヒモを無表情で水中に
引きずりこむシーンなどは鬼気迫るものがあります。

泊まり客が高価な腕時計を水中に落として水底をさらおうとしたのを見て
二人は小屋舟の係留の錨を全部上げスクリュー・エンジンを取り付け逃亡
するのです。 もうそれは破滅へと突き進むだけ。

追い詰められた二人の自らに課す残酷なシーンは強烈で、自傷行為を通して
しか愛し合えないという、このあたりは観ていて切ないというか、何とも
たまらない気分させられます。

海外の映画祭で、嘔吐する退場者や、失神者が出たと言われている作品だ
そうだが、かなりショッキングなシーンもあり観るのに勇気がいるな〜

霧のたちこめた湖に浮かぶ小屋舟 このシーンはまるで水墨画を見るようで
ラスト・シーンと共に印象的でした。 

台詞を一切喋らず、ねっとりとした視線で嫉妬や欲望を表現するソ・ジョンの
演技は見事でした。 

異端児監督と言われるだけ有って、この映画は広く大衆に受ける映画では
ないよう気がしますね。  

2002年05月20日(月)  スターダスト 

『メメント』 2000 アメリカ

監督・脚本:クリストファー・ノーラン
出演:ガイ・ピアース/キャリー・アン・モス/ジョー・パントリアーノ

 最初はたった11館で公開されたこの映画 リピーターの続出で上映10週目で531館に拡大 全米興行成績8位にランキング インデペンデント映画にしては異例の快挙を成し遂げたと言われています。

このリピーター続出は納得。 何故かというと1回ではとても理解しがたいのです。 面白かったからもう一度じゃなくて、分からないからもう一度だったのでは・・・

妻をレイプされ殺されたこの主人公レナード(ガイ・ピアース)犯人に頭を殴られ前向性健忘という記憶障害になるのです。 発病以前の記憶は有るが
それ以降は10分しか記憶が保てないんです。

その為にはポラロイドで撮った写真の裏にメモし、キーワードは身体に刺青として記録し、それを頼りに真相に近づいていくのです。

そしてある日そのメモに従って一人の男を殺害するのです。果たしてその男は本当の犯人なのか。 この映画は結末から始まるのです。

結末を見せて、それから順を追って展開するというストーリーは良くあるけど、この映画は順を追うのでなくあくまでも結末から過去へと遡っていくのです。 

簡単に言えばラストシーンが実はファーストシーンなんです(@_@フーッ!!頭の中でストーリーを再構築しながら観ないと理解出来ない 硬化した私の脳にはなかなか難しい。

そこへいくとビデオはいいですね。 2度目はラストシーンから巻き戻ししながら、止めては又戻し、分からなければ何度もこれを繰り返しどうにか辻褄が合ってくるんです。 これもリピーターですね。(^_^)

妻を殺されるまでの記憶しかなく メモ、写真、刺青を頼りに行動することしかないレナード それが如何に悲しいことかと、見終わった後 何て可哀想 と・・・(-_-;)

ストーリーとしては今までにない斬新な感じだけど、同じ回想シーンが度々出てくるのは少し煩わしいなという気もしないではないですね。

何度も会っているのに前に会った記憶がない これでは果たして犯人を殺したことを覚えているのか? なーんて心配したりして・・・

ガイ・ピアース「L.A.コンフィデンシャル」の後、共演した同じオーストラリア出身の、ラッセル・クロウの方が脚光を浴び、どうしてるのかと気になっていたてけど、これから大いに活躍してほしい と思うんであります。「プリシラ」のドラッグ・クイーンも良かったしね。

小さな疑問は残ったし、ちょっぴり疲れたけど、結構刺激的で面白く観ました。 このクリストファー・ノーラン監督は31歳の新進気鋭のイギリスの監督でスティーブン・ソダーバーグ監督が彼の才能を高く評価してるそうです。
これからが楽しみな監督ですね。

この脚本は、ノーラン監督の弟の書いた短編から。

2002年05月25日(土) 硬直脳を刺激!?スターダスト 

オー・ブラザー!』 2000 アメリカ

監督・脚本:ジョエル・コーエン
制作・脚本:イーサン・コーエン
撮影:ロジャー・ディーキンズ
出演:ジョージ・クルーニー/ジョン・タトゥーロ
   ティム・ブレイク・ネルソン/ホリー・ハンター

◎ゴールデン・グローブ賞・最優秀主演男優賞受賞:ジョージ・クルーニー
 1930年代 ミシシッピー州の片田舎で3人の囚人が脱獄。この冒頭のミシシッピーの綿花畑を走るシーンの景観はとっても素晴らしい!!

リーダーのジョージ・クルーニーが強盗で得た120万ドルの隠し場所がダムの底に沈むというので脱獄を謀ったのだ。 後の二人はたまたま鎖で繋がっていたので3人が脱獄というわけで この辺も笑えるんです。

ヒッチハイクをしている黒人の青年トミー(クリス・トーマス・キング)悪魔に魂を売って最高のギターの名人になったという彼を車に乗せてやり歌を売ればみんなのお薦めシネマ金になると聞きラジオ局へ行き“ずぶ濡れボーイズ”と名乗ってレコードを吹き込むのです。 

この歌うシーンは楽しくて、クルーニーも渋い喉を聞かせてくれます。この歌が大ヒット 歌った当人達はそれも知らずにひたすら目的地へその道のりは、懸賞金目当ての色仕掛けや 裏切り、州知事選を巡る陰謀KKKの暗躍など それにお定まりの彼らを執拗に追う保安官もいて、とっても盛り沢山

巧く隠し金を見つけて山分け出来たかって さあ〜(^_^) 自分たちにとって本当の宝物は何だったのか というところかな。

劇中歌われた、フォークやカントリー・ミュージックが注目を集めたようでサウンドトラックがグラミー賞の何かを受賞したような そこは詳しくなくて(^^ゞ

アカデミー賞・最優秀撮影賞にノミネートされていただけあってセピア色がかった画面などはとっても素晴らしかった。

可笑しさ面白さは、中の上ぐらいかな。 面白さでは「ビッグ・リボウスキ」(1998)の方が上ではないかと、私は思うんですが・・・ 

2002年05月27日(月) スターダスト 

『バンディッツ』 2001 アメリカ

  監督:バリー・レヴィンソン
出演:ブルース・ウィリス/ビリー・ボブ・ソーントン
   ケイト・ブランシェット/トロイ・ガリティ

◎アカデミー賞受賞監督(レインマン)の、犯罪映画です。

 ウィルス扮するジョーは、考えるより先に行動するタイプだから脱獄も綿密な計画の元になんて生ぬるい 発作的にやるから荒い荒い うひょ〜  こういう役はウィルス適役だなー

ソーントン扮するテリーは、聞きかじりの医学知識で自分は重病だと勝手に思いこみ心気症に悩むような男この二人が、対照的だから面白いんです。

そこに、ひょんな事から欲求不満の人妻ケイト・ブランシェットも加わって、メキシコ国境へ向かう銀行強盗ツアーが始まるんです。

銀行強盗も、前日に変装して支店長の家に押し入り、家族と共に食事をし、翌朝支店長と一緒に銀行へ 血を一滴も流さずまんまとお金を持ち出すという 頭いいっ!!

マスコミは“お泊まり強盗”として「犯罪ワイド」という番組で取り上げ注目の的になって・・・ バカな番組も有るもんだね。最後の大仕事などは中継してましたよ。 あ、日本でもしそうだね。

ジョーもテリーもケイトを愛しはじめ ケイトも二人を同時に愛したからこれは大変 三角関係に男達の仲はぎくしゃくしていくんです。マスコミは彼女を、彼らにさらわれた悲劇のヒロインとして報道するけど彼女は退屈な日常から抜け出せて刺激的な生活に満足そうなんだよね。

メディアの馬鹿さ加減や、この番組を観てる人たちの3人に対しての感情の表し方を皮肉ってるように思えるのですが。3人それぞれが、とってもいい味を出しています。

途中ちょっとダルイ部分も有ったけど、そこで観るのを止めないで・・・ 
是非ラストまで?

ほどほどに笑わせて貰えて、ほどほどに面白かった。   

2002年05月29日(水) スターダスト 

『欲望の翼』 1990 香港

監督・脚本:ウォン・カーウァイ(王家衛)
撮影:クリストファー・ドイル(杜可風)
出演:レスリー・チャン(張國榮)/マギー・チャン(張曼玉)
   カリーナ・ラウ(劉嘉玲)/アンディ・ラウ(劉徳華)

3月4月と何故か香港映画に魅せられて観まくりました。
と言っても手当たり次第では無くて、興味有る監督の作品をです。

その中から、私の選りすぐり?を と言うより好みの作品を・・・

先ずは『花様年華』の、ウォン・カーウァイ(王家衛)
1982年映画脚本家に 1988年「今すぐ抱きしめたい」で監督デビュー 
1990年『欲望の翼』で、独特の映像感覚が注目され一躍世界が注目する
監督になった。  先ずはその作品から


 若者達の、出会い 孤独 愛 そして別れを 新しい形で描いてる青春映画です。ファーストシーン、サッカー競技場の売店の売り子スー(マギー・チャン)の所に突然現れたヨディ(レスリー・チャン)が言う台詞が洒落ているんです。

一日目、「夢で会おう」それだけ言って帰るのです。 特に3日目に言う「1960年4月16日3時1分前、君は俺と居たこの1分は忘れない。 君とは1分の友達だ」

1分から2分そして1時間の友達になり深い仲になっていき、そして捨てられるのです。 定職にもつかず養母から貰うお金で暮らすヨディ 自堕落、無気力、虚無的女にだらしない それが不思議な魅力となって女達が夢中になるのです。レスリー・チャンは、まさに適役!! 

ヨディに新しい女踊り子のミミ(カリーナ・ラウ)ができたのを知りつつも彼を忘れられないスー その彼女を愛した警官(アンディ・ラウ) ミミを一目見て片想いにおちるヨディの友人 若者それぞれが思うようにいかない恋に悩み、観ていて切ない。

ヨディの孤独感は、母親が養母だったというのが分かってから、幾ら聞いても知ってる筈の実母の居場所を教えてくれないことが起因してるのです。やっと実の母の居場所を聞き出したヨディは、実母の居るフィリピンへと向かうのです。 

一目母親の顔だけを見たいと思う彼の願いは、お金の無心に来たと思いこんだ母親の、留守という事で会っては貰えない。 窓からそっと息子を見送る母親の気持ちは・・・

「後ろに視線を感じたが、向こうが顔を見せないから、僕も振り返らない」と ヨデイのモノローグが、肩をそびやかして歩く後ろ姿に重なって一層切なく迫ってくるのです。

フィリピンで、船員になった元警官と中国人街で偶然会い、それから悲しいラストへ・・・お金のトラブルでやくざのボスを刺した為に、逃げる列車の中で撃たれて命を落とすのです。 息を引き取る前に元警官が「去年の4月16日の3時に何をしてたか?」 ヨディはそれにこう答えるのです「あの女と居た。肝心なことは忘れない」彼の心の中を垣間見た思いです。

ファーストシーンで出てくる「脚のない鳥がいるそうだ ただ飛び続けて疲れたら風に乗って眠る 地上に降りるのは死ぬ時だけだ」この話をヨディは好きだったのです。

ヨディのラストのモノローグ「俺は死ぬまで飛び続けける鳥の話を信じてたでも鳥は飛ぶ前に死んでいたんだ」・・・・ (-_-;)おばさんに青春映画はそぐわないけど、でも良かった。

ラストにこの映画とは何の脈略もないワンシーンが現れて驚かされます。屋根裏部屋で身支度をするギャンブラーらしい人物 なんとトニー・レオンなんです。

これは続編を、トニー・レオンでつくる予定だったのでワンシーンいれたのだが、都合で作らなかったとか 気紛れウォン・カーウァイ監督らしい話ですね。クリストファー・ドイルのカメラも、後年の「ブエノスアイレス」や「花様年華」ほどのムードは無い物の、でもそれなりに素敵なシーンもありやはり素晴らしいカメラマンですね。 ああ、長くなった〜

2002年06月04日(火) スターダスト 

『ブエノスアイレス』1997・香港

香港映画に嵌る(2) 監督・脚本:ウォン・カーウァイ(王家衛)
撮影:クリストファー・ドイル(杜可風)
出演:トニー・レオン(梁朝偉)/レスリー・チャン(張国栄)
   チャン・チェン(張震)

※カンヌ映画祭最優秀監督賞受賞

 のっけから、ベッドで絡み合う男性二人が延々と映し出されますそうなんです この映画は、惹かれ合いながらも傷つけ合う男同士の愛を、アルゼンチンを舞台に描かれているのです。

この手の映画に拒絶反応を起こし、吐きそうになる方は観ない方がいいでしょう。(^0^)恋人同士のウィン(レスリー・チャン)とファイ(トニー・レオン)何度となく別れを繰り返しているこの二人 「最初からやり直そう」と言うウィンの殺し文句に弱いファイは、南米アルゼンチンへ一緒に来るのです。

些細な事で又喧嘩になりウィンと別れたファイは、来るのではなかった、会わなければよかったと、思いもし 口にだして言うのだった。

タンゴバーのドアボーイの仕事に有りついたファイの前に、ウィンが男の客と連れだって来て再会するのです。ファイはちゃんとした仕事に就くのにウィンは男の客を・・・この対比が面白い。

男に殴られたといって、大怪我をしたウィンがファイの所に転がり込んでくるのです。 ファイのかいがいしい看病ぶりが観ていて胸が詰まりそう。

ウィンのパスポートを隠した事で又喧嘩になり、ウィンは又出て行くのですその後何度もウィンから電話がかかってくるのだが、もう彼とやり直す気のないファイは電話にも出ず、二人で見に行こうと言っていたイグアスの滝を見に行き香港に帰っていく会えば喧嘩になり別れるものの、ほんとはお互い惹かれあっているのに・・・

ウィンが怪我をしてその看病をしていたときが自分だけのウィンであったでしょうから、ファイにとって一番幸せな毎日だったのでしょう。

レスリー・チャンの気儘に奔放に生きるウィン。 トニー・レオンのひたむきな想いに耐えるファイ。  どちらも良かったよー。
ファイの働いていた中華料理店で、兵役前に世界中を見て回るその為の資金稼ぎをしていた好青年のチャン 一服の清涼剤ともいえる存在でした。

怪我をした時一緒に住んでいたファイの部屋を借りたウィンの、ベッドの上で毛布を抱えての慟哭は、失ったものの大きさと、取り残された寂しさからなのか・・・ 

何か話してとチャンに言われてカセットテープを渡され、喋る事も出来ず泣いて居たウィンの姿 この二つのシーンはとっても印象深く残っていますアストル・ピアソラの切なく情熱的なタンゴのメロディが胸にしみ入り、クリストファー・ドイルのモノクロで始まりカラーへと変わっていく画面と共に、とても雰囲気のある映画だった。 これも好みの問題でしょうけど・・・

2002年06月05日(水) スターダスト 

『花の影』1996年・香港

香港映画に嵌る(4)

監督:チェン・カイコー(陳凱歌)
撮影:クリストファー・ドイル(杜可風)
出演:レスリー・チャン(張国栄)/コン・リー(鞏俐)

今日は『さらばわが愛/覇王別姫』の、チェン・カイコー(陳凱歌)監督です。
1993年のこの作品を今頃観て凄く感動したので、興味を持って3年後の作品
「花の影」を観ました。 

「さらばわが愛」の主演の二人と、人気カメラマンのC・ドイルと初めて組
んだメロドラマです。 メロドラマは余り好きじゃないと言いながら(^^ゞ

 1911年 両親が亡くなった為、姉の嫁ぎ先である蘇州のパン家へ、少年チョンリァン(忠良13歳)がやって来る所から物語は始まります。

このパン家というのが資産家で、昔の中国の資産家の凄さに先ず驚かされます。そこでは当主を始めとして、みなアヘンに酔いしれているのです。退廃した空気の中、義兄の若旦那には辛く侮辱的な扱いをされ、その上姉には弄ばれ、絶望したチョンリァンは耐えきれなくなって屋敷を飛び出すのです。

その恨みのいかばかりかは、義兄を廃人に追いやったのを見てもわかります時は移って1920年代の上海。人妻を誘惑して金品を巻き上げる上海マフィア配下のジゴロ シャオシェ(レスリー・チャン)彼こそ大人になったチョンリァンなのです。

ボスの命令で、パン家のルーイー(コン・リー)を誘惑するようにと命じられたシャオシェ  辛い思い出のあるパン家に仕方なく訪れたシャオシェが見たのは美しく成長したルーイー(如意 コン・リー)だったのです。

様々な思いを交差させながら、いつか本気で愛し合うようになるのですが・・・1920年代の上海租界は、外国人が警察・行政を管理していた一定地域だったからとっても開けた街 そこへ蘇州からやってきた如意と弟(実の弟ではないが)何もかもが新鮮で驚きの連続 ここのシーンは思わず笑いますね。

ジゴロとして真実の恋は御法度のシャオシェが、ボスに嘘をついてまで或人妻と恋に落ちる ・・・ この結末も涙を誘うのです。

如意との恋の行方は? やはり哀しい結末を迎えます。(-_-;)義兄にしたと同じ行為を(廃人)ルーイにしたシャオシェの真意を思うとやはり涙が・・・

と言っても私が想像する真意だから 当たってるかどうか(~_~)マフィアの一員として裏切り者とみなされたシャオシェの末路も又哀れで・・・ 

ある人に「なんや〜 まるでレスリー・チャンとコン・リーのプロモーション映画みたいじゃないの」と笑われたけど(@_@) 誰だ〜 そんなこと言うのは〜
アハハハ 実は長女です。 そう言われれば そんな感じしないでもないねー

以前 中国の百恵と言われてたコン・リーは美しく、あの独特の表情はこのヒロインにぴったり。 レスリー・チャンのあの独特の雰囲気も、やはりこの映画でも発揮され おばさんは満足でした。 だから何を言われてもこの映画好きなんです(~0~)

う〜ん やはり俳優に左右されてるのかな。(^_^;)ふふふ
この映画のクリストファー・ドイルの映像は、全体に紗ががかかったような映像で、それはそれで古い時代を思わせるようで、良かったのでは・・・
阿片が、代々続く資産家の跡取りを蝕み、家を絶やさない為の当主選び等興味深く観ましたね。

後この監督の『始皇帝暗殺』も観たが、これは余り頂けませんでしたので割愛。去年アメリカへ進出 『キリングー・ミー・ソフトリー』を監督 もう公開されたけど、どうだったのでしょうか 観てないので(^^ゞ 

「中国では描けなかったエロス、セックスが描ける」とのコメントだけど如何かな? 期待しつつ(@_@)ビデオ待ちです。

2002年06月07日(金)  スターダスト 

『フロム・ヘル』 2001年・アメリカ

J・デップに見とれた!! 

監督:アレン&アルバートヒューズ(ヒューズ兄弟)
出演:ジョニー・デップ/ヘザー・グラハム

 史上最も悪名の高い連続犯人として、名前だけは知っている“切り裂きジャック”これって迷宮入りだったのですね。未だにその正体は謎に包まれているとか。

この映画の基になったのは、アラン・ムーアの同名のグラフィック・ノベルからだそうです。

1888年 ヴィクトリア朝末期のロンドンのスラム街ホワイトチャペルここで娼婦をしてるメアリー(ヘザー・グラハム)と仲間達5人 この6人が次々と殺されていくのです。 若い女性を見境無く殺すのではなくてこの6人というのがミソ?

娼婦達もはじめは自分たちを支配してるギャングのマックイーン一味の仕業と思うのだが、そうではないと次第に分かってくるのです。警察上層部からの圧力を受けながら娼婦殺しの真相に迫っていく警部アバーライン(J・デップ) 彼は2年前妻と子を難産で亡くし、それ以来アヘン中毒になっていた。 

この警部アヘンを吸うと殺害場面を幻視するという超能力を発揮するんです
警部としては好都合ですね。 でも未然に防げないから(^0^)殺し方はちょっと詳しくは・・・ 見事な仕事ぶり?などで犯人が解剖学の専門知識を有する者だとアバーラインは推理するのです。

画面には、解剖用の色んな種類のメスの入った鞄を開いて犯人が仕事をするから、観てる者にもハハーン犯人はそう言う人物か〜と推理できて・・・隠蔽された王室のスキャンダルや、これは皇太子が絡んでるのだ それに不気味な秘密結社の暗躍や、えっ ジャックがこの人? と、でもこれはやっぱりと、でもこの人物王家の為に此処までやって褒賞ものなのに、ロボトミーされて 王家は冷たいね

切り裂きジャックの話は諸説有るそうだから、これが本当とは言い切れない
でしょう。この映画 怖いというより、エグイッ!! 

娼婦の一人 協力してくれたメアリーとアバーライン警部との淡い恋も有ったりで、それに何よりジョニー・デップが凄く美しい!! 今まで観た彼の映画の中では一番美しいのでは(*^^*)

「スリーピー・ホロー」のマザコン 蜘蛛が怖い すぐ卒倒するかわゆい彼と違って、翳りと、憂いと、知性と 一味違うデップにクラクラ いい中年になったな〜 ありゃまだ中年じゃないか。  いつもながらあの目 結構目のアップ多くてあの目に弱いんだな〜 アヘンで朦朧としてる彼も素敵だよ〜ん(^0^) 

2002年06月09日(日)  スターダスト 

『男たちの挽歌』(シリーズ1)1986年・香港 

香港映画に嵌る(5)

監督最後は、ハリウッドで活躍中の ジョン・ウー(呉宇森)です。
『フェイス/オフ』1997・アメリカ 『M:I-2』2000・アメリカが、結構面白かったので香港での旧作は?と、このシリーズを観たと言うわけです。

1986年に監督した「男たちの挽歌」が大ヒット、 シリーズ化される1993年ハリウッドに進出。前の二人の監督とはがらっと変わって アクション物。どちらかというとハードアクション バイオレンスアクションです。
監督・脚本:ジョン・ウー(呉宇森)
主演:チョウ・ユンファ(周潤発)/レスリー・チャン(張国栄)
   テイ・ロン

 刑事キット(レスリー・チャン)の兄ホー(テイ・ロン)は、ニセ札偽造組織の幹部 その為キットは警察内部からも疑いの目で見られ、キット自身父親を殺されたことも重なり兄を恨んでいるのです。

常々組織のやり方に疑問を感じていたホーは組織から抜けたいと思っている組織を牛耳る悪党に怒りを爆発させたホーと、彼の親友マーク(チョウ・ユンファ) 弟の刑事の3人は、決死の闘いになだれ込んで行く。

マーク役のC・ユンファが二丁拳銃をぶっ放し獅子奮迅の大活躍 見応え有りスローモーションを駆使したバイオレンス映像 兎に角凄い!! キット役のL・チャンは初々しく でもアイドル系で、最近の彼の方がずっといいよ。バイオレンス映像と浪花節的なドラマを見事に融合させて、この手の映画ファンには 大受けだったでしょう。 日本でも多くのファンを獲得したとか。

前作のシンジケートによる紙幣偽造事件で、親友を死なせたホーは親友の死を悼みながら服役していたが、この組織に潜入するよう警察に依頼されるのだが・・・

前作で華々しく死んだマーク役のC・ユンファが この作品では双子の弟として登場。 

ストーリーは前作同様、血で血を洗う香港マフィアの抗争で、前作と違うのは、ホーが組織に潜入するので、そこが又ハラハラ 産まれた子供の顔を見ないまま殉職するキット(L・チャン)このシーンは涙を誘いますね。

どちらもチョウ・ユンファが、すっごくかっこいいっ!!

「フェイス/オフ」や「M:I-2」のような カーアクションや爆破シーンなどの派手さはないものの、専ら銃でのアクション だから銃そのものの凄みも有り、ギョエッとえぐ味も有りで、でも昔のアクション映画&クライム映画ってこんなだったですよね。

尚この「男達の挽歌」シリーズは2までで、シリーズ以外として「ハードボイルド 新・男達の挽歌」1992が有ります 次に書こうと思ってますが・・・
後何本かの同名の作品は、ジョン・ウー監督の作品では有りません。

2002年06月12日(水) スターダスト 

『ハードボイルド 新・男たちの挽歌』1992・香港
香港映画に嵌る (6)

 

ジョン・ウー監督の最後は『ハードボイルド 新・男たちの挽歌』です。
これは、前の「男たちの挽歌 1・2」のシリーズものとは別の作品

前作2作のコンビ、ジョン・ウー監督とチョウ・ユンファの刑事
アクションもので、1997年中国返還目前の香港を舞台にした作品です

監督:ジョン・ウー(呉宇森)
出演:チョウ・ユンファ(周潤発)/トニー・レオン

刑事ユン(C・ユンファ)と、組織に潜入した秘密捜査官トニー(T・レオン)の二人が、武器密輸組織に立ち向かうというストーリー

この刑事ユンが2枚目半的なキャラで、C・ユンフアが結構可笑しいんです。
T・レオンとの絶妙のコンビネーションで、ハードな中にもコミカルな味を出しているんです。

クライマックスは、セキュリティシステムで密室となった病院の中での二人と、敵方のバトル・アクションがみもの。 香港版「ダイ・ハード」って感じです。

これがアメリカ映画なら、任務を遂行した秘密捜査官はめでたく昇進てところでしょうが、何故か香港映画では殉職しちゃうんだな〜(-_-;)

映画としての面白さは、私は「男たちの挽歌」シリーズの方が良かったように思うのですが・・・ジョン・ウー監督はこの作品の後、1993年にハリウッドに進出し「ハード・タ−ゲット」が、アメリカでの初監督

アメリカでの監督作品

『ハード・ターゲット』1993年
『ブロークン・アロー』1996年
『フェイス/オフ』1997年
『M:I-2』2000年

2002年06月15日(土) スターダスト 

『暗い日曜日』1999・ドイツ・ハンガリー

監督・脚本:ロルフ・シューベル
出演:エリカ・マロジャーン/ステファノ・ディオニジ
   ヨアヒム・クロール/ベン・ベッカー



“暗い日曜日”この曲を聴いて自殺者が絶えなくて、発禁処分にまでなったというのは、私の若い頃にも聞いていて、ダミアの歌も聴いた ものでした。

日本でも淡谷のり子をはじめ多くのシャンソン歌手が歌っています。その曲の誕生に隠された激しく切ない愛の物語を描いたというのが
この作品です。



 誕生日を迎えた老紳士を祝う為に、ブダペストのレストランに高級車を連ねてドイツ人の一団がやってくる。その会食の席上で彼は「あの曲を」とリクエストし、その曲を聴くうちに、そして店に飾られた女性の写真を見ているうちに胸を押さえて倒れてしまうのです。 こうして物語は一気に1930年代へと遡ります。

1930年代末、ブダペストでユダヤ系のオーナー ラズロ(ヨアヒム・クロール)がレストランを開く。店は恋人であり給仕もする美しいイロナ(エリカ・マロジャーン)の力もあり繁盛する。

ある時店に無名のピアニスト アラディ(ステファノ・ディオニジ)を雇い入れるが、イロナとアラディは惹かれ合うように・・・ そして3人が選んだのは決別ではなく愛の共有だった。

イロナの誕生日にアラディは、貧しい自分には何も無いから作りかけのこの曲をと弾き始めると、イロナをはじめ店の客たち、給仕もコックも思わず魅入られたように聞き惚れるのだった。 

曲名を“暗い日曜日”としたこの曲は、ラズロの力添えでレコード化され世界中で大ヒットするが、レコードを聴きながら自殺する者が後を絶たず「自殺の聖歌」という烙印を押され、発禁処分にまでなるのだった。

歌の背負った宿命と、ナチスの台頭によって、3人の運命の歯車が狂っていくのです。

ストーリーを追えばきりがないのでこの辺にして・・・

ミステリアスだといういう部分も、男と女の物語という部分でも、何か中途半端な感じがして物足りなさを覚えるのですが。女性を失いたくないということで、愛を共有する男性二人の心の葛藤がもう少し描かれていてもいいように思うのです。

かっての常連客で、イロナに求愛したドイツ青年。 ナチスの将校になって現れた彼の変貌ぶりは、環境によってこれだけ人格が変わるものかと考えさせられました。

終盤近くの、ラズロがユダヤ人狩りで収容される列車を待つシーン 其処に現れた今はナチスの将校になってる彼の姿を見てラズロは地獄に仏を見た思いだったでしょう(ふふふ 古い表現) でもそれも一瞬 ラズロは奈落の底へ突き落とされるのです。 あの一瞬ほっとして微笑んだラズロの表情が印象深く残ります。

ナチス将校の“暗い日曜日”のリクエストに応えられないで躊躇するアラディに替わって歌い出すイロナの歌声は心にしみ入ります。 

その後の突然のピストルの音 アラディの自殺は・・・ 彼の悩みは? 自分の作曲した歌で多くの人が自殺を、それとも彼女との男二人と女一人の恋で 
それで悩んでいたとしても、余りにも説明不足で唐突な感じは免れないんです。と、まあ不満を並べたものの、映画の中で繰り返し流れてくる「暗い日曜日」のピアノやヴァイオリンの旋律は、不満も少しは和らげてくれたような。冒頭でブダとペストの間を流れるドナウ河の風景も素敵でした。 それと、イロナ役のエリカ・マロジャーンの美貌も・・・

長くなった序でに パンフに載っていた、岩谷時子の訳詞を書いておきましょう
腕に赤い花を抱いて、吹きすさぶ木枯らしの中 つかれはてて帰るあたしもういないあなただもの 恋のなげきつぶやいては ただ一人でむせぶなく暗い日曜日

ローソクのゆらめく炎 愛も今は燃え尽くして、夢うつつあなたを想うこの世では逢えないけれど 死んでも瞳が言うだろう あたしの生命より愛したことを 暗い日曜日。

002年06月17日(月)  スターダスト 

『カストラート』1994・仏・伊・ベルギー

監督・脚本:ジェラール・コルビオ (2000年「王は踊る」も監督)
出演:ステファノ・ディオニジ/エンリコ・ロ・ヴェルソ
   エルザ・ジルベルスタイン/イェローン・クラッペ

 ※ゴールデングローブ外国語映画賞を受賞


「暗い日曜日」で、ピアニスト役だったステファノ・ディオニジ 繊細で翳の有る俳優で、少々興味を持ったのと、この映画で国際的に  注目されたというので少し古いけど観ました。でも知らなかったな〜


 カストラートとは、18世紀のヨーロッパにおいて、ボーイソプラノを保持するために去勢された男性歌手のこと。 人道上の理由から、19世紀半ばに去勢手術は禁止された。

この作品は、実在した3オクターブ半もの声を持つという 天才カストラートファリネッリと、彼の歌うオペラを作曲した兄リカルドの生き様を描いた映画です。

10歳の時の落馬事故が元で去勢された、カルロ・ブロスキ(通称ファリネッリ)(ステファノ・ディオニジ)は不幸な境遇と引きかえに魔法のような歌声を得る。兄のリカルド(エンリコ・ロ・ヴェルソン)が作った歌を歌い名声を得るが彼の真価を発揮するには凡庸な兄の曲ではなく、真の天才が作った曲が必要だった。

ロンドンでオペラ座同士の対決に出ることになったファリネッリの為に、彼を愛するアレクサンドラ(エルザ・ジルベルスタイン)は、大作曲家ヘンデル
(イェローン・クラッペ)の曲を盗み出す。

怒ったヘンデルは彼が歌う直前に、落馬事件の原因が兄の策略だったことを告げる絶望を越えて歌うファリネッリのアリアはかってない美しさで、ヘンデルを打ちのめすのだった。 そして兄弟の愛憎劇にも決着のつくときが来た・・・

一心同体というこの兄弟、女性に対してもそうで有り、この辺は可笑しいような頷けるような・・・ 弟の歌が有ってこそ兄の作曲も活かされるというこの兄弟に取って、弟が去勢手術を拒否すれば兄の作曲家としての地位は無いも同然でこれはファーストシーンでそれらしく描かれています。

熱で意識朦朧の弟を、アヘンをのませ秘薬で去勢して、乗馬の事故と嘘をつき通した兄 でも罪の意識は絶えず持ち続けていたことでしょう。 この日から弟の為に作曲しはじめた曲が終盤で出来上がり、ヘンデルにも褒められ、弟からも最高の傑作だと言われたものの、スペイン王のお抱え歌手となっていた弟には歌って貰えないんです。この辺り何と憑きのない兄なんでしょうと同情させられるのです。

「お前から奪ったものを返そう 人並みの人生を・・・ お前に残したものそれは音楽同様“共作の成果”と言えるだろう?」という置き手紙を残して兄は戦場に赴のです。

その共作の成果である、アレクサンドラの大きくなったお腹に頬ずりしキスをする普通の生活に憧れていた、カルロの穏やかな顔で映画は終わるのです。

ステファノ・ディオニジは適役で2枚目だったし ポルポラの貴族オペラと、
国王とヘンデルの劇場とのオペラ座の対立も面白く、バロック調の壮大な世界に、不思議な感動を覚えた作品でした。

カストラートの声を再現する為に有名なカウンターテナー デレク・リー・レイギンとソプラノのエヴァ・ゴドレフスカの声をサンプリング合成して現在に蘇らせたそうです。実在の人物というので調べたら、貴婦人二人と一緒のカルロの肖像画も有って、S・ディオニジよりは体格のいい美形とは言い難いものの、まあそれなりの顔でしたね。?

カストラートはオペラの世界でも活躍しだすようになり、沢山のスターが生まれたそうで、ファリネッリは18世紀のヨーロッパ中で知られた3人の中の一人という大スターだったそうです。

2002年06月24日(月)  スターダスト 

『王は踊る』2000年・ベルギー・フランス・ドイツ

監督・脚本:ジェラール・コルビオ
出演:ブノア・マジメル(「年下のひと」「ピアニスト」)
   ボリス・テラル/チェッキー・カリョ

 「カストラート」のJ・コルビオ監督が、再び音楽を題材に撮った豪華絢爛、策略渦巻く宮廷生活を背景に、王(ルイ14世)と宮廷音楽家の忠誠と禁断の愛の物語。

優れたダンサーでも有った“太陽王”ルイ14世と、宮廷音楽家ジャン・バティスト・リュリ。 17世紀のフランスを舞台に、ルイの権力掌握の為に(愛の為にとも言える)3000もの曲を書き続けたリュリの禁断の愛、芸術への情熱、劇作家モリエールの栄光と没落、王と母の確執、旧守派との争い、それぞれの妻や愛人との関係等が絡みながらルイが絶対君主となるまでを史実に基づき荘厳な映像と音楽にのせて描きだした作品

(1643年5月14日 ルイ14世は5歳にして王になり、1661年3月9日22歳に王としての全権を握るのです。)
こういった争いは宮廷ものでは良く有ることで、ここに男が男を愛するというのが加わってくるから面白い(@_@)

まだ少年だったルイ14世に惹きつけられた男色家のリュリの狂おしいまでの愛憎それを知りながら、当てつけるように女を抱く王   激しく嫉妬するリュリ でも叶わぬ愛なんだよね。 片想い 究極のプラトニック愛なのだ。 この時代は、男色、乱交 何でも有りなんですね。

妻が出産直前陣痛に苦しんでいるのに、ルイが重い病にかかったのを知りルイの部屋の前で病気回復を祈る為一晩中ヴァイオリンを弾き、翌朝まさに愛の奇跡 ルイは一命をとりとめるのだ。 う〜ん これは王への忠誠か 愛なのか。 ま、両方でしょう。

宮廷音楽家というのは結構権力を持つのだけど、それも王から見離された途端権力も失墜し哀れな姿になるのです。 ルイが訪れなくなった音楽会にそれをまざまざ見せられます。 

その王の訪れない音楽会で指揮するリュリは足を怪我し、足の切断を医師から宣言されても「王と踊った脚は切れない」と手術を拒否し息を引き取るのだ 何といじらしいこと。

フランス人にも余り馴染みのないバロック・ダンス これってヒールのある靴で複雑なステップを踏むのでかなりハードだそうだが、これを3ヶ月の特訓でマスターしたという ブノワ・マジメルが好演でした。 

彼は『ピアニスト』で、カンヌ主演男優賞受賞してるんです。
結構宮廷物って好きだな〜

2002年06月27日(木) スターダスト 

『青い夢の女』 2000・フランス・ドイツ

監督・脚本:ジャン・ジャック・ベネックス
出演:ジャン・ユーグ・アングラード/エレーヌ・ド・フジュロール
   ミキ・マノイロヴィッチ

 妻と別れて一人暮らしの40歳の精神分析医ミッシェル・デュラン(ジャン・ユーグ・アングラード)は、患者の一人 盗癖とマゾっけの有る若く美しい人妻オルガ・キュプレール(エレーヌ・ド・フジュロール)に惹かれている

ある日治療室でオルガの話を聞くうちに、つい眠ってしまい目を覚ましてみると彼女が誰かに首をしめられ死んでいた。 誰が?ひょっとして夢うつつで自分が? 真相究明は置いといて、彼の死体隠しに右往左往する姿が先ず笑いを誘う(^0^)

突然災難に見舞われた中年男のドタバタ劇も面白いのだけど、他にも 怪しいホームレスの男、死体フ○チの男 盗みで快感を覚える女教師と、まあ、精神分析医が主人公だから 苦笑、爆笑を誘う面々が登場して サスペンスというのを忘れて笑ってしまう。

ジャン・ユーグ・アングラードがとにかく可笑しい!! 死体を担いでスッテンコロリンと転んだり、穴に落ちて叫んだり、酔って枕と格闘し一緒に寝ていた恋人に愛想つかされたりと、笑わせてくれるのだ。 こう書くとドタバタ喜劇と思われそうだけど、そうではないんだ。 台詞にも注目!! 

私は初めて観た俳優なんだけど、フランス映画界を代表する実力派だそうで女性ファンも多いとか  この映画でも疲れた中年男の悲哀を滲ませた繊細な演技力は凄くいい!! それに笑顔が又とってもチャーミング!! 

エレーヌ・ド・フジュロールも、美しい肢体で 死体 こっちかな 両方です(^0^) 死体となってあちこち担がれ運ばれその間目は見開いたまま でも美しく色っぽく笑いもちゃんと取って 良かった〜 
ベネックスブルーといわれる独特の青みがかった映像もとても素敵だった

2002年06月30日(日)  スターダスト 

『おいしい生活』 2000・アメリカ

監督・脚本:ウディ・アレン
出演:ウディ・アレン/トレーシー・ウルマン
   ヒュー・グラント/エレイン・メイ

 自称天才犯罪者のレイ(ウディ・アレン)が結婚25周年目に人生の最後の賭と仲間と銀行強盗を企てる。 銀行の1軒隣の売りに出てる店を買って、店は妻のフレンチー(トレーシー・ウルマン)がクッキー店を・・・ レイと仲間は地下から銀行までトンネルを掘って金庫の大金を頂き〜??

掘って着いた先が方向違いでブティック 此処まででも結構笑わせてくれる(^0^)穴だらけの計画は頓挫して、カモフラージュで始めたクッキー店が大繁盛にわか成金になった夫婦の“おいしい生活”が始まるのだ

下心(金)のある美形美術商(ヒュー・グラント)とあわやの所で破産 ヒュー・グラントってこういう役巧いね。T・ウルマンとW・アレンが夫婦漫才風で二人の会話が絶妙 笑えます。それにウルマンがうまい!!

うまいと言えば、エレイン・メイのおおぼけ振り演技も笑えるし、出演者みんなおかしい!  コメディだから当たり前か〜  間抜け夫婦の珍騒動だけど、女房の方が亭主より遙かに機転がきいて、ラストではあんたは偉いっ!!と思わず唸ったよ〜  

舞台はW・アレンの大好きなニューヨーク。 ヒュー・グラントとウルマンが旅行する先はベネチア。 高級レストランやメトロポリタン美術館、最高のワインこれは見るだけじゃつまらんけど・・・   かの有名なウインザー公の華麗なターコイズ・ブルーのシガレットケース、 成金になってからのど派手な衣裳(アレンの金ぴかの服はヴェルサーチとか)等々 目を楽しませて貰い且つ笑わせてもらいました。

2002年07月02日(火) スターダスト 

『フェリックスとローラ』2000・フランス

監督:パトリス・ルコント
出演:シャルロット・ゲンズブール/フィリップ・トレトン
   アラン・バッシュ/フィリップ・ドゥ・ジャネラン

 移動遊園地でバンパー・カーを経営するフェリックスは(フィリップ・トレトン)ある夜、一人バンパー・カーに乗る謎めいて寂しげな女に興味を抱くそして彼女ローラ(シャルロット・ゲンズブール)を雇うことになるのだが彼女に惹かれ関係が深まるほど彼女の過去の謎に身も心もさいなまれていく好きな監督の一人パトリス・ルコントの世界 お得意のラブストーリー

「消しゴムで消せば消えてしまうような私」と、自分の存在に自信を持てないというローラ それ故にか、孤独で、虚言癖な女。 現実から逃れるために嘘を重ねていき、そしてその嘘の為に好きな男からも逃げようとする孤独で哀しく寂しい女なんですね。  

その嘘に振り回されながらも、彼女への想いを募らせていくフェリックスルコントの映画によくある「男の方が一途」なんだなぁ。彼の優しさ愛の深さにローラは、嘘で塗り固めた自らの鎧を脱いで、真実の愛に目覚めていくのです。 愛は強し!! これ私の得意の台詞(~_~)ホヘ

映画の中で云っていたけど、移動遊園地や、移民は、みんなに蔑まれるそうなんですね。 流れ者ということで。 シャルロット・ゲンズブール、名前は知っていたが初めて観たのだが、孤独に取り憑かれたヒロインを好演 彼女フランスのセザール賞という賞を14歳で受賞という演技派

P・ルコントの作品としては まあまあかな。 私は暗くてラストの哀しい「仕立屋の恋」の方が好き。

2003年04月16日(水)  スターダスト 

『シカゴ』2002・アメリカ 

監督:ロブ・マーシャル
出演:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ/レニー・ゼルウィガー
   リチャード・ギア/クイーン・ラティフア/ジョン・c・ライリー

 大画面で観る久しぶりのミュージカルです ワクワク!!
1920年代のシカゴ。スターに憧れる人妻ロキシーは、愛人を衝撃的に射殺し投獄された。そこにはロキシーが憧れていたヴェルマも浮気した夫と妹を殺した罪で投獄されていた。やり手の弁護士ビリーは、ロキシーのスキャンダルを逆手に取って彼の策によりロキシーを悲劇のヒロインに仕立て上げる。

冒頭からノリノリのダンス&音楽で、おおっパワフル!と先ず圧倒される。これも大スクリーンだからこそ(^_^)この時代退廃的な町シカゴでは、犯罪を犯そうとも金さえ積めば無罪放免うーん何やら今の時代に相通じる所も・・・(?_?)

豊満な肉体で歌い踊るキャサリン・ゼタ=ジョーンズ 10代からミュージカルに出ていたというだけあって さすが〜 アカデミー賞受賞は当然!!ゼタ=ジョーンズの大迫力に圧倒されて、レニー・ゼルウィガーがモンロー風で頑張ってるのは認めるけど、何だかひ弱で影が薄い感じでお気の毒

リチャード・ギア? 辣腕弁護士にはあのお顔では見えないし、タップもご披露下さったけど まあまあご愛敬ってとこかな(~_~)ホヘ

突然歌い出すというミュージカルが苦手な私 それが無くて結構楽しめました。ただもう少し歌や踊りをじっくり観たい気もしたけど・・・

2003年04月30日(水)  スターダスト 

『ディナーラッシュ』2001・アメリカ

マフィア&料理&人気シェフ&殺人
監督:ボブ・ジラルディ
出演:ダニー・アイエロ/エドアルド・バレリーニ
   ヴィヴィアン・ウー/カーク・アセヴェド
   サンドラ・バーンハート/サマー・フェニックス

 この映画に出てくるイタリアンレストラン“ジジーノ”は、監督自身がオーナーの店で、撮影もこの店で行ったそうだ。 そして監督の自叙伝でも有るとか・・・

ニューヨークのトライベッカでレストラン“ジジーノ”を経営するルイ(ダニー・アイエロ)は、賭の胴元でもあるが、ある日彼のビジネスパートナーが殺される事件が起きる。 一方ルイの息子でジジーノのチーフシェフのウード(エドアルド・バレリーニ)は、店を流行の店に大変身させ昔ながらの料理を好むルイにはそれが気に入らない。

美味しそうなイタリア料理の数々に涎が出そう(^^) でもそれ以上に登場人物の個性が面白いのだ。 オーナー、息子のシェフ、レストラン評論家、店を乗っ取ろうとしてる義兄弟のマフィア、証券マン、雑学博士のバーテンダー、ギャンブル好きの副シェフ、傲慢な美術評論家 

この個性豊かな登場人物を見せながら、カメラは地下の戦場さながらの厨房と客で溢れる店を行ったり来たりと飽きさせない。 中でもレストラン評論家のサンドラ・バーンハートが傑作 それに好演!!  彼女と寝たお陰でウードが一躍スターシェフになったらしいのだが・・・    

息子は父親とのビジネスパートナーになりたいと願い、息子のやり方に不満の父親は中々それを認めないという親子の確執も描かれていて、目まぐるしい展開のうちに、あっと驚くエンディング これがたった一夜に起こった出来事とは・・・

ルイの、副シェフへの温情や殺されたビジネスパートナーの復讐、客の勢力図、世代の葛藤、恋のさやあてなど、結構面白かった。
 
2003年05月06日(火)  スターダスト 

『チェンジング・レーン』2002・アメリカ

失ったものを二人は取り戻せるか
監督:ロジャー・ミッチェル
出演:ベン・アフレック/サミュエル・L・ジャクソン
   キム・スタウントン/トニー・コレット

 法廷へ急ぐ弁護士ギャビン(ベン・アフレック)は無理な車線変更をして別の理由で法廷へ急ぐギブソン(サミュエル・L・ジャクソン)の車と接触事故を起こす。ギャビンは急ぐ余り小切手を渡して去り、同時に大事なファイルを落としてしまう。別居中の妻と子供の親権を争うギブソンもこの事故は致命的だった。

少しの時間を惜しんだばかりに、裁判には間に合うものの肝心のファイルが無い。この裁判に勝つとサイモン・ダン財閥の多額の資産が彼の勤める法律事務所に転がり込み、負ければ詐欺罪に・・・ 自分に非があるのにファイルを取り戻す為にジャクソンに対しての狡猾な所業。 

エゴの為に自分も相手をも窮地に陥れ、右往左往するB・アフレック観ていて苛立つが、頭はキレルものの、いざのときの不甲斐なさをB・アフレックはそれなりに巧く演じている。

それに比べてジャクソンは、アルコール依存症というだけで特に悪い男でもなく同情してしまう。こうした境遇の違う二人を交差させ対比させる これがこの映画の狙いなのだろう。

弁護士事務所の不正を知って義父である上司の指示に従わず、ジャクソンの為に最後は奔走する 良心がまだ有ったのだとほっとさせられるラストで救われるが・・・ 

妻や子と元の生活に戻りたいと願いながら、何事も裏目にでてやり場のない憤懣や、寂しい思いの父親をサミュエル・L・ジャクソンが好演 
余談だが、B・アフレックて、顔が大きい ちゃう長いね〜(~_~)ホヘ

2003年05月10日(土)  スターダスト 

『セレンディピティ』2001・アメリカ

幸せな偶然で始まるラブストーリー
監督:ピーター・チェルソム
出演:ジョン・キューザック/ケイト・ベッキンセール
   ジェレミー・ピヴェン

 タイトルのセレンディピティとは「幸せな偶然」「運良く見つけたもの」の意だそうで、ニューヨークに実在する老舗のカフェの名前でもあるそうだ。

デパートで偶然同じ手袋を手に取ったジョナサン(J・キューザック)とサラ(K・ベッキンセール) お互いに惹かれ合いながらも、二人の出会いが運命なら又逢えるはずというサラは、ジョナサンの連絡先を書いた5ドル札を売店で使い、自分のフルネームと連絡先を書いた本を古本屋に売る。

この発想が中々ユニークで面白いね。数年後いまだに再会出来ないでいる二人。それぞれが結婚を控え本腰を入れて相手を探しはじめるのだ。数年間何をしてたのと云いたいよ〜(~_~)ホヘ友人との彼女捜索劇はドタバタ風だけど嫌みが無くて結構面白い。

ラブコメの女王メグ・ライアンの出そうなストーリーだが、可愛いM・ライアンに比べるとK・ベッキンセールの方が知的な容貌でいいね。 あ、これは好みの問題です(^^ゞ

古本屋に売った本と、連絡先を書いた5ドル紙幣の見つかるくだりも 運命の糸で結ばれてたんだな〜んて、こんなこと有る?と云いつつ でも其処が映画(^0^)

デパートの販売員(ユージン・レヴイ)笑わせてくれます。主人公二人も好感持てるキャラだし、ひねりのきいた洒落た脚本だし、たまにはこんなロマンチックなラブストーリーも、肩が凝らなくていいですね。

2003年05月16日(金)  スターダスト 

『彼女たちの時間』2001・仏

 親友も嫉妬羨望でストーカーに
監督:カトリーヌ・コルシニ
出演:エマニュエル・ベアール/パスカル・ブシェール

 総てを分かち合ってきた女同士の友情も、一人は華やかで才能に恵まれ、一人は挫折し、そうした二人の友情は? 羨望と嫉妬 嫌悪と愛情 が交錯する感情と関係が繊細なタッチで描かれた映画だけど・・・

絶交から10年、演劇の道を諦めたルイーズ(パスカル・ブシェール)は女優として成功したナタリー(エマニュエル・ベアール)と再会 その後コペンハーゲンの演劇祭に又もややってきたルイーズ。 主人にもナタリーにも嘘をついて押しかけてきたのだ。

そしてナタリーの身近にいて彼女を支えてやりたいと勝手に思い込み同居を始めたルイーズ まるでストーカーのように付きまとうのだ。 ルイーズのやる事が次第に重荷になるナタリー どちらも身勝手なんだよね。

ルイーズの心の内には、ひょっとしたら私がナタリーのような人生を歩めたかも知れないと言う思いがあり、ナタリーはルイーズに対して優越感を持ちお互いが相手に求める物の不一致から、二人の仲はこじれたり求めあったり
と、まるで男女の腐れ縁のようでもあるんだ。

エマニュエル・ベアールも良かったが、パスカル・ブシェールの観ていて苛立ちを覚える演技は見もの これは演技と云うより役柄かな(?_?)

観ていて、同性として反発や共感出来る部分もあるけど、かなり疲れる映画(^_^;)ツカレター  それとラストが今一つだなぁ

2003年05月24日(土) スターダスト 

『めぐり逢う大地』2000・米

金と妻子を交換した男の贖罪は?
監督:マイケル・ウィンターボトムズ
原作:トマス・ハーディ
出演:ウェス・ベントリー/ミラ・ジョヴォヴィッチ
   ナスターシャ・キンスキー/ピーター・ミュラン
   サラ・ポリー

 イギリスの文豪トマス・ハーディの原作を、19世紀西部開拓時代に舞台を移して映画化された作品

1867年ゴールドラッシュに沸くカリフォルニア州シエラネヴァダ この時代西部に点在する他の町同様、このキングダムカムも独自の自治が敷かれており巨額の富を持つ男 ダニエル・ディロン(ピーター・ミュラン)が総てを支配していた。 彼には貧しかった頃、一握りの砂金と妻子を交換したという哀しい過去があった。

雪深いこの町に旅の一行がやってくる この地に鉄道を通せるかどうかを調査する測量隊 そして彼が捨てた妻と娘。 酷い仕打ちに遭っても夫を愛し続けた妻(ナスターシャ・キンスキー)は病をおして夫の元へ・・・ そして改めて結婚するのだが、病に冒された妻は夫に看取られて息を引き取るのだ。

鉄道さえ通れば町は繁栄する その期待も虚しく雪深いこの町にはそれは不可能と知り、妻の死の悲しさと相まっての彼の最後に取った行動こそ、彼が長年心を痛めてきた妻子に対する贖罪なのだろう。 哀しさがひしひしと伝わってきてこのシーンは圧巻

象徴的な生き方の3人の女性 ミラ・ジョヴォヴィッチ、ナスターシャ・キンスキー、サラ・ポリーが好演  それ以上に過去を引きずる男ピーター・ミュランが良かった。 

2003年05月31日(土) スターダスト 

『チェルシーホテル』 2000 アメリカ 

監督:イーサン・ホーク
出演:ユマ・サーマン/ロバート・ショーン・レナード
   スティーブ・ザーン/クリス・クリストファーソン

 実在のこのホテルは、かって作家のマーク・トゥエンや、トーマス・ウルフ画家のアンディ・ウォーホール、歌手のボブ・ディランなど、ゆかりの深い場所だそうだ。

この古びたホテルには、詩人志望の女性ユマ・サーマン。酒と女が好きな塾年の作家クリス・クリストファーソン。ユマ・サーマンに想いを寄せながらも言い出せないでいる画家。ミュージシャンとしての成功を夢見てニューヨークにやってきた男性二人。グレイス(ユマ・サーマン)と同様詩人を目指す黒人の若い女性マーク・ウェバー。ホテルの廊下やエレベーターでいつもわけの分からない独り言を呟いている謎の男。

この複数の主人公たちの日常生活が、それぞれのホテルの部屋で捉えられる。彼を愛しているのだが一緒にいると自分まで破滅しそうになると語る離れて暮らす作家の妻。 私まで破滅しそうになるという愛人。 

みんなそれぞれが深い孤独感に襲われているのだ。 映像もあいまってよけい孤独感がひしひしと迫ってくる。

この複数の主人公達の部屋をじっくり写すのではなくて、時には違う部屋に場面がすぐ変わるというのは少し混迷してしまう(?_?)

ショートカットにラフな洋服のユマ・サーマンがいつもの彼女と違ってとても初初しくて、こういう彼女をご亭主のイーサン・ホークは撮りたかったのかな殆どがホテルの中のシーンなので、変化に乏しい感じもして・・・

初監督作品としては、イーサン・ホークの感性が感じられるのだけど、好みが分かれるかも。

2003年02月07日(金)  スターダスト 

『ボーン・アイデンティティー』2002・アメリカ

   M・デイモン新境地開拓!
監督:ダグ・リーマン
出演:マット・デイモン/フランカ・ポテンテ
   クリス・クーパー/クライブ・オーウェン

 繊細な役や、悪く言えば愚鈍な役柄も演じてきたマット・デイモンが、目を見張るようなクールでタフな主人公を 熱演 好演 これがとってもいいのだ!!

溺死寸前助けられたジェイソン・ボーン(M・デイモン)は記憶をなくしていて自分探しを始める。 唯一の手がかりを求めてチューリッヒの銀行へそこで見つけた物は、6カ国のパスポートと6つの名前それと大金 謎に包まれた彼の前に次々と殺し屋が現れて・・・

記憶は無くても 体は反応する これは当然のことなんだろうけど・・・ ベンチで寝込んで居るところを警官に咎められその瞬間体が反応し警官二人を倒してしまうこのシーンで思わずそういうものかー なんて感心したり。

CIAの殺し屋であるこの主人公、銃に頼らないところが従来のスパイ映画の主人公と違う。“教授”の異名を持つ最強の殺し屋との対決で、農家にあったライフルを手にする 銃を持つたのはこれ一度きり。 だったと思うが??

大使館に逃げ込んで窮地に陥った時も、銃は使わず非常口の地図を取り、まんまと脱出 この決死のジャンプも頭いい〜 奪った無線で相手の動きを掴んで行動するとか、電話のリダイアルから手がかりを掴むとか 兎に角知性と鋭い判断力で真相に迫っていくのだ

パリでのカーチェイス 行く先々にCIAが放つ殺し屋との息もつかせぬスピード感溢れるアクション そして爽やかなラスト スパイ映画としては出来のいい映画と思う。

CIAの命による暗殺の失敗も、主人公の人間性が出ていていいと思ったけどでもこれは殺し屋としては失格かな これは私の解釈です(^^ゞ

M・デイモンファンは言うまでもなく、そうでない人も、きっとこの映画の彼を観て、デイモンかっこいい!と思うこと必至!!(*^^*)ふふふ これからの彼のこの路線に期待大になるのでは(^^)

ひょんな事から行動を共にするマリー役のフランカ・ポテンテが、変に女っぽくなくて?爽やかでとってもいい。

ロバート・ラドラム原作の、ジェイソン・ボーンシリーズ後2作有るそうでシリーズ化されるかも・・・ おおいに期待しましょう。

2003年02月10日(月)  スターダスト 

『チョコレート』2001・アメリカ

74回アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞
     喪失と再生のラブストーリー
監督:マーク・フォスター
出演:ハル・ベリー/ビリー・ボブ・ソーントン
   ヒース・レジャー/ピーター・ボイル

 死刑囚の夫は死刑執行され、息子は事故死、仕事はクビ その上家は立ち退きという不幸の連続の女(ハル・ベリー)

男の方は、死刑囚棟のリーダー(ビリー・ボブ・ソーントン)息子も看守 親子三代看守のいわば家業のような・・・引退した一代目は今は車椅子の生活 三代目は、死刑執行の間際に死刑囚が取り乱したのをみて、彼も取り乱して立ち会えないという、優しいが故に気弱な男と父親の怒りを買う。 

軟弱だとののしられた息子は父に銃を向けそして「お父さんを愛してた」と言いながら自らの命を絶つのだ。 悲しみと自責の念に打ちのめされる父親   
前半はこのようなやりきれない不幸なお話の連続で、暗くなりそうだけど不幸にもめげないパワフルな女性を見事演じてるハル・ベリーの熱演に救われる。人種差別主義者だったビリー・ボブ・ソーントンが、黒人のハル・ベリーに惹かれていくのだけど、黒人の子供が家の近くに来たというだけで銃を持って飛び出すほどの男がどうしてそう簡単に? 

肉親の死という同じ痛みを持つ者同士 そこには肌の色の違いなどに拘る気持ちも消えて一人の人間として向かい合う気持ちになったのでしょう。自分の主義をあっさり捨てられたのも、彼女が魅力的な美人だからなーと美人は得だね な〜んて(^0^) 

彼女を迎え入れる為に、自分以上に頑固な人種差別主義者の父親を施設に入れるということまでする彼の彼女への愛情の深さ ここまで変われるものなんだね 恋って(~_~)ホヘ

ハル・ベリーの受賞に値する熱演と、彼独特の淡々とした演技を見せてくれるビリー・ボブ・ソーントンもいいし(好きな俳優の一人)父親に軟弱と非難される優しい息子ヒース・レジャーも出番は少ないけど良かった。

ほっとさせられるラストシーンも、これからの二人の幸せな生活を暗示させるようで、優しくていいね。

2003年02月21日(金) スターダスト 

『インソムニア』2002 米

 アカデミー賞受賞者3人の競演
監督:クリストファー・ノーラン
出演:アル・パチーノ/ロビン・ウイリアムズ
   ヒラリー・スワンク/マーティン・ドノヴァン

 アカデミー賞受賞の、アル・パチーノ、ロビン・ウイリアムズ、ヒラリー・スワンクこの3人の競演と、監督があの衝撃的というか天才的なアイデアの『メメント』のクリストファー・ノーランということで興味津々だったが・・・

女子高校生の変死体が発見され、ロス市警から応援として二人の刑事アル・パチーノとマーティン・ドノバンが応援として送り込まれてくる。

さすが過去に数々の猟奇殺人を解決した刑事だけあって、高校生の身分不相応な洋服や持ち物などから犯人像をぴしゃりと特定する辺りは凄い。

白夜、不眠症、誤って刑事を誤殺、それを犯人に見られて脅迫される、刑事のダークな過去等 サスペンスとしては、そう悪くないストーリーというか作品なんだけど、今ひとつって思えるのは何故かなぁ。

どんなに工夫しても部屋には明かりが差し込む白夜の情景とか、不眠症がもたらす精神的疲労で神経症気味になっていく主人公(アル・パチーノ)の姿はそれなりに興味深いものがあったけど・・・

最近のアル・パチーノの顔は何となく憔悴したって顔 だからそのままでも不眠症に悩み、精神的に参っていくとう役はうってつけと思えるのに、絶えず目をひん剥いた演技はちょっとオーバーじゃないのー(~_~)ホヘ 私にはミスキャストと思えて・・・(☆o☆)アチャ

ラストシーンも、やっぱりこうなったか〜 って感じで新鮮味はなし(~_~)ホヘ
殺され方は猟奇的で、このまま行くとサイコサスペンスになるのかと・・・
でも、サイコにならなかっただけでも良しとするか(^0^)

2003年03月05日(水) スターダスト 

『アバウト・ア・ボーイ』2002・アメリカ

  笑いと感動の上質コメディ
監督:ポール&クリス・ウエイツ兄弟
出演:ヒュー・グラント/ニコラス・ホルト
   トニー・コレット/レイチェル・ワイズ

ヒュー・グラントがまさに適役 笑わせてくれます。

 親の遺産で38歳の今日まで仕事もしないで、お気楽な独身生活を謳歌している主人公ウィル(ヒュー・グラント)「人間は誰でも孤島」がモットーの彼の暇つぶしは、家ではテレビのクイズ番組やホラー映画を観て、高級車での外出は、美容院、ビリヤードそしてお手軽な女の子を引っかける 

これは深いつながりを怖れてのこと 何も考えてないようで、この辺は考えてるんだなーと笑える。

シングル・マザーが後腐れ無くていいと気が付いた彼が、シングルの会へ出かけて行って、2歳の子供を置いて妻に逃げられてと 嘘を並べ立てて喋るのだが、みんなが??と思うようなことを平気で喋る彼の面白さ お気楽人間の面目躍如(^0^) 

そこで知り合ったシングル・マザーとデートに漕ぎつけたのはいいけど同じ会の友人の子供(少年)を連れて来たことから、彼の生活に異変が生じていくのだ。

この少年マーカス(ニコラス・ホワイト)は12歳にして数多い悩みの持ち主 転校した先々でイジメにあい、その上母親は情緒不安定で自殺未遂を起こしたりと悩みは尽きない その上グラントの嘘まで見破るという、お気楽中年よりこちらがずっと大人(^0^)

マーカス少年はこのお気楽中年を気に入って家に押し掛けて来るんだけど少年の魂胆は、父親になって欲しいというのではなくて、母親には相手が必要という思いからで、母想いの優しい気持ちがいじらしくて、ジーンとくるのです。

少年に引っかき回されながらも、自分の人生に欠けているものは何か?とお気楽中年も気づいていくんですね。 

学校でのロックコンサートで、ブーイングされるのが分かってる歌を少年が唄うというのを知って唄うのを止めようと学校に駈けつるグラント 心の交流がここまできたかと感動する。

グラントを慕い、母親を思うホワイトの演技も素晴らしく涙を誘うんです。
「人間は誰でも孤島」では居られないという楽しげなラストシーンもいいしコメディで有りながら、人間同士の絆、孤独、愛、家族 が描かれていてとても良かった。 それとヒュー・グラントの演技が最高!!

2003年03月10日(月) スターダスト 

『イン・ザ・ベッドルーム』2001・アメリカ

息子を突然失った夫婦の深層心理

監督・脚本:トッド・フィールド
出演:トム・ウイルキンソン/シシー・スペイセク
   ニック・スタール/マリサ・トメイ

 メイン州の小さな港町で診療所を開いている医師(トム・ウイルキンソン)妻は(シシー・スペイセク)合唱隊の指揮者 中流家庭のいわば町ではインテリで住民の尊敬も集めてる名士といえる存在。その息子が夏休みの帰省中に、別居中の二人の子持ちの年上の女性と恋におち、そしてその夫に殺される。

彼らの穏やかな生活が、この殺人で一変していく。激しい怒りや、悲しみを話し合うこともしないで、妻は家に引き籠もり、夫は診療所の仕事や、友人と会って気を紛らわすしかないのだ。

今までの平穏で幸せな生活では気が付かなかったお互いの自制心が、事件に直面して少しづつはがされていくのです。

理解の有るはずだった母親のシシー・スペイセク それは彼女の自我を通し
たものであり、息子にとってはプレッシャーだったこと父親のトム・ウイルキンソンは、息子の恋を理解し応援し、でもそれは彼の心中密かに夢想している欲望でもあるということ そして本音をぶつけ合った時やっと二人はお互いを分かり合えるです。

此処で映画は終わるのかと思いきや、映画は意外な展開で終わるのだ。理性のあるはずの夫のとった行動 これが彼の押さえに押さえた感情の総てなのかも・・・

去年のアカデミー賞主演男優・女優賞ノミネートのトム・ウイルキンソンシシー・スペイセク 二人の演技はさすが! 圧倒される。

でもこのストーリーで130分は長過ぎて・・・しんどかった(-_-;)

2003年03月21日(金) スターダスト 

『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』2001・アメリカ

アメリカ版“父帰る”
監督:ウェス・アンダーソン
出演:ジーン・ハックマン/アンジェリカ・ヒュートン
   ベン・スティラー/グウィネス・パルトロウ

 >ロイヤルとエセル夫妻と、天才と謳われた3人の子供達のテネンバウム家の22年間の変転と裏切りと失敗と奇行の歴史

かっては有能な弁護士であったロイヤル(ジーン・ハックマン)が、家を出て22年振りに突然舞い戻ってくるというので一騒動。

今は考古学者になっている妻のエセルの英才教育で、3人の子供達は天才と謳われていたのだが、大人になれば「ただの人」に成り下がっているのだ。

元天才、今では普通の人となり果てた長男、長女(パルトロウ 養女)ややまともな次男この3人の奇行ぶりも面白いが、その中で長男のベン・スティラーの奇人振りが一番面白い(^0^)

「後6週間の命 残された時間を家族の関係を修復したいからチャンスをくれ」と大嘘ついて舞い戻ってくるジーン・ハックマンが、どうしようもない父親を好演帰ってきたほんとの理由は、妻がどうやら再婚しそうな気配、それと一文無しになってずっと住んでいたホテルを追い出されるからというのだから 笑える。

一番父親を受け入れるのを嫌がっていた長男が、心臓麻痺を起こした父親の最後を看取るという皮肉 でも心開いて息子として看取ったこのシーンは良かったね。

家に閉じこめられている孫を、外へ連れ出して孫達と悪戯をするジーン・ハックマンの楽しげな姿は微笑ましく、とても印象に残る。果たして家族の再生は? ただ一人反対していた長男とも心通じたようだし妻へは離婚届を渡せたし、まあ束の間の家族との生活も出来たし幸せな最期だったのでは・・・  結構面白いブラックコメディでした。

2003年03月31日(月) 

『ゴスフォード・パーク』2001・アメリカ 

群像劇は登場人物の整理に大童
監督:ロバート・アルトマン
出演:マギー・スミス/マイケル・ガンボン
   クリスティン・スコット・トーマス
   ケリー・マクドナルド/ヘレン・ミレン

 第二次大戦前夜(1932)イギリス貴族の屋敷で狩猟とパーティが開かれそこで殺人事件が起こる。

招待客は、この屋敷の主マッコードル郷(マイケル・ガンボン)夫人シルヴィア(クリスティン・スコット・トーマス)の伯母をはじめ、夫人の妹夫婦2組や、マッコードル郷の従兄弟 その友人の映画プロデューサーなど。それぞれが従者やメイドを連れてくるのだけど、みんな主人の名前で呼ばれるのだ。

他愛ないお喋りで過ごすのだが、実はみんなそれぞれがこの屋敷の主になにがしかの頼み事が有るのだ。 例えば伯母は仕送りを増やして欲しいとか、別の人物は事業の融資を依頼とか 財産目当てで夫人の妹と結婚をとか上の階のこの連中の下心ある空虚な会話に比べて、階下の使用人達の会話や行動がとても面白い。

殺された屋敷の主人の犯人探しは余り重点を置いて無くて、犯人は観ている者にはすぐ分かるし・・・ いいかえれば殺されたのも身から出た錆び かなり酷い男なんだなぁこれが(~_~)ホヘ

群像劇は知名度のある俳優だとまだ分かるのだけど、有名俳優といっても殆んどがイギリス人俳優なので、マギー・スミスの他は、誰が誰やら良くわからなかった(-_-;)

招待客の俗物的な描き方は面白く、この大勢の俳優を捌く監督の力量はたいしたものと思うけど、登場人物が絡む分私の頭も絡んで ああ、ややこしー相関図が要るよー(^0^)

因みに昨年のアカデミー賞で脚本賞受賞 助演女優賞(マギー・スミス/ヘレン・ミレン)監督賞・作品賞・衣裳賞をノミネートされた作品

2003年03月26日(水)  スターダスト 

『バースデイ・ガール』2002・アメリカ

今やネットで花嫁を捜す時代
監督・脚本:ジェズ・バターワース
出演:ニコール・キッドマン/ベン・チャップリン
   マチュー・カソヴィッツ/ヴァンサン・カッセル

 ロンドン郊外に住む真面目で孤独なもてない銀行マンのベン・チャップリンそんな彼がホームページ「ロシアから愛をこめて」でメール・オーダーした花嫁は正体不明のロシア娘ナディア(ニコール・キッドマン)

ちょっと前までは「ポアゾン」のように新聞広告の花嫁募集で花嫁を捜したものだけど、今や時代はネットで花嫁を・・・の時代なのかー

やって来たロシア娘の花嫁は、カタログでは英語を話せるとなったいたのに何と英語は話せずただ微笑みながら頷くだけ。欠陥商品?と知って返品しようと思うのだが、目を見張る美貌その上セクシーときてるからその魅力には
勝てないんだなぁ ふふふ

喋れなくても意志の疎通がはかれて楽しい生活が始まるかに見えた矢先、彼女の誕生日を境に不幸のどん底に・・・ロシアから従兄弟とその友人という男二人が現れて、予想通りこの3人はグルなのだ その上英語は喋れないと
いうのも真っ赤な嘘。 ま、観ている者にはきっとそうだろうなと察しはついたけどね。

そして彼ら達は彼女を人質に「銀行の金を盗め」と銀行マンを脅すのだ。
まあこれは犯罪物に良くあるストーリー

ネットを使った犯罪これは今風だけど、仕掛けは目新しさは感じられないが
自分が招いた事とはいえ、平凡な毎日の生活に突然正体不明の他人が入り込む恐怖と可笑しさは面白かった。

この映画アメリカ映画なのに、ベン・チャップリンは最近はアメリカでも活躍してるイギリス人俳優 ロシアから来るグルの二人 ヴァンサン・カッセル マチュー・カソヴィッツはフランス人俳優 そして役はロシア人 監督が日本初デビューのイギリス人監督(?_?)なんだこりゃ 

B級映画といえる作品だけど、それなりに肩が凝らなくて、ニコール・キッドマンの美しさと、ヴァンサン・カッセルのワル振りと、ベン・チャップリンの気の弱そうな表情と、でも終盤には強い男になるんだ 愛は強し!(^^) 
まあその辺が見所かな。

2003年04月11日(金) スターダスト 

『マイノリティ・リポート』2002・アメリカ

犯罪予知追う身が追われる身に
・・・
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:トム・クルーズ/サマンサ・モートン
   コリン・ファレル/マックス・フォン・シドー

 2054年ワシントンDC テクノロジーの発達により犯罪予防局が設立され犯罪者はその犯行前に逮捕される。それは人類が願っていた犯罪ゼロの理想的な社会の誕生であり究極のシステムのはずだったが・・・ 有能な捜査官アンダートン(トム・クルーズ)自身が犯罪者として予告され追われる身になる

2054年といえば後50年 SFとはいえこんなシステム出来たら怖ろしいね もう私はこの世に存在してないけどね。(-_-;)

これから起こるであろう犯罪を予知するプリコグ(予知能力者)その予知を映し出す モニター 自動化された都市の最新のレーダー網 磁力で走る車等々 そのどれもに うわ〜なんて感心したり驚いたり 凄い! 

後半トム・クルーズが犯罪予告される辺りまでは視覚的にも中々面白かったがプリコグが間違った予知をするはずがないという信念で、これには裏が・・・とプリコグを連れて真相究明していく辺りから、もうSFというより普通のサスペンス調(~_~)

ましてやラストの、子供を亡くして(多分殺されて)別居していた妻との仲睦まじげな姿や、普通の人になって平穏に暮らしているいうプルコグの3人の姿には、何か違和感を感じてしまった。

一応いちゃもん付けてるけど、ま、結構面白かった(~_~)ホヘ 

2003年06月04日(水)  スターダスト  

『華の愛 -遊園驚夢-』2000年 中国

   
     人形のように美しい宮沢りえ
2001年モスクワ映画祭最優秀女優賞受賞

監督・脚本:ヨン・ファン
出演:宮沢りえ/ジョイ・ウォン/ダニエル・ウー

 1930年代蘇州の貴族の館を舞台に、第5夫人として嫁いできた崑劇の歌姫ジェイドと、彼女に思いを寄せる館の主人の従姉妹女教師ランの長年にわたる愛と友情を描く

贅を尽くした美術と色彩豊かな映像は素晴らしいです。
それに加えて宮沢りえの美しさ 但し血の通わぬ人形のような美しさですが・・・ 演技も賞に値する演技かどうか アハハハちょっと手厳しいかな

ジェイド(宮沢りえ)の誕生日 崑劇の歌手達がロン家の庭園で舞い踊る誕生日恒例の催し その中でりえと男装のラン(ジョイ・ウォン)とのデュエット それはもう宝塚歌劇そのもの

館を追い出され子供を連れてランの元へ身を寄せるジェイド。この二人いわゆるレズなんだけど、二人の間にはそのような官能的な雰囲気やシーンもなく、良く有る女学生の上級生と下級生のSと言った感じのやや少女趣味的なもので ま、あっさりしてると言えばそうだけど・・・

ジョイ・ウォンが心惹かれる男性が現れるのだが、どちらを取るか悩んだ末りえの元へ。りえの結核らしいシーン あれは彼女の先の短いのを暗示してるのかな??  

このランの愛人役のダニエル・ウーのヌードシーンは、素晴らしい(?_?)マッチョな肉体をこれでもかこれでもかと延々見せてくれるので ランでなくてもウヒョと失神しそう(@_@)でも何故か嗤ってしまう 何故かって? 顔は映さず延々と体を拭くシーンが続くから(^0^)アハハハ

このダニエル・ウーはどの映画でも必ず自慢の肉体を披露するとか ウフフフ ジョイ・ウォンは「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」で観た頃から比べると老けたな〜 そりゃあ13年も経てば当たり前でしょう

美しいアジア的な宮沢りえを堪能できるので、りえファンは是非どうぞ

2003.1.2 スターダスト  

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